2021S 現代法学の先端 第1回 一般的な質問への回答
最近では司法試験に合格しても就職できないなど、法曹関係者が過剰にいる状態だと聞いたことがあるのですが、なぜ制度改革をして司法試験に合格しやすい仕組みを作っているのでしょうか。
答えるのが難しい質問ですが、今回の制度改革は、司法試験合格者の人数を変えようとするものではなく、合格までに必要な年数を減らし、しかもその間に充実した勉学をしてもらおうとするものなので、法曹関係者の数が過剰であると仮定しても、その問題とは直接関係がありません。
(法曹関係者の数が過剰かどうかは、別途の検証が必要な問題ですが、ここでは関係がないので省略します。)
法学部で学んでいて、立法や法律の運用に必要だと個人的には思われる他分野の専門知識はどこで身につけるのでしょうか?あるいは専門知識がそこまでなくてもそういった作業に携わることができるのでしょうか?
大事で、答えるのが難しい質問ですが、どの人でも、全ての分野について高度の専門知識を持つのは困難です。したがって、大事なのは、未知の専門分野から吸収する必要が生じた場合に問題なく入っていけるリテラシーであったり、その専門分野では誰に話を聞けばよいかを知っていることであったり、そのような人を見分ける能力であったり、するのではないでしょうか。そのような能力は、読書などによる自学自習で身に付く場合もあるし、ネットで適切なコンテンツを見分けることができるならばそれで身に付く場合もあるし、教養課程で様々なものに触れることで身に付く場合もあるし、と、無限に可能性は広がっていると思います。法学部に閉じこもってしまうと視野は狭くなりますが、それは、どの学部でも同じことで、上記のようなことを意識して、視野を広く保つことが肝要だと思います。